2006年 06月 12日
<ホワイトサンズ ナショナルモニュメント> の夕焼け April 2006 ここのところ、インターネット接続(ワイヤレス)の調子が悪く、記事送信時に不通のときなど、記事が消えてしまうなんて悲劇が起こるので こまめに送信(未完成でも)することにします。 ちょっと見難いかな、ご勘弁を。 <ナショナリズムは、食卓と戦場で発露されると抑制を知らなくなる> ― 飽満の種子 ― 開高健 舞台のない台詞 新潮文庫 後日、ぱらぱら読み返していたこの本。 ページを折って思いっきり<ブックマーク>してあったこの言葉が目に ついて、う~んと唸ってしまった。 さて、 皿を目の前に茫然としていた私は、やはりおもむろに中味を ゴミ箱に捨てた。 何が起こったのか、意味する事は?真実を見落とさないように ― これは私の性で突き詰めて意味を得ようとする、何か起こると ― などと、考えをめぐらせていたと思う。 でも、あまりに自分の理解の範囲を超える出来事に混乱もしていた。 食べ物を吐く、いえ、吐き出すって? 作った人の、目の前で。 その食べ物への嫌悪だけでなく、私はその行為に 言葉にはしなかった、明らかな夫のわたしへのメッセージを感じたのだ。 批難めいたもの。こんな行為で伝えた事に怒りがわいた。 そして、これとは違う面から酷く傷つきもした。 あからさまな、非常に強い嫌悪感、身の毛もよだつといわんばかりの。 それはただ、食べ物だけへ向けられたのではなく、 日本の食習慣 日本の文化そのもの、への嫌悪であると 彼が吐き出した瞬間から私は感じてしまった。 牛タンの料理は、日本料理とはいわないかも そして、私の過剰反応?。 そうかもしれないが、そこまで感じたのには一言では説明しきれない 理由もある。 アメリカ人の食の好み、習慣の違いは暮らし始めた当初からすぐわかったし それも面白い発見と楽しんでもきた。 こと、食べ物に関しては、好きなものを楽しもう!なので こちらの不健康と思われる食習慣であろうと、余計な口出しは無用!と 尊重するよう心がけてきた。 私の感じたその違いをいくつか挙げてみようと思う。 <シーフードスパゲッティディナーの夜> アメリカに来てまだ間もない或る日、和風味のスープスパを作った。 和風といってもバターと白だし、ガーリック風味、きっと気に入ってくれるかな と思い。 海老、イカ、玉ねぎ、ベーコン、ほうれん草。 美味しそうに食べていた彼、<いか>に反応。 これは?イカよ。 君はボクにイカを食べさせたね。と苦笑いの彼。 いか、たこはこわ~いもの(多くのアメリカ人にとって)という事をまだ知らなかった私。 歯応えがいやなそうだ。 スーパーでも殆ど見かけない。アジアンマーケットまでいかないと 手に入らない。 こんにゃくを料理していたら、「それはイカ?」と尋ねられた。 <ポーク嫌い> これも、暮らし始めてすぐだった。 私にとって初めてのアメリカの地だったフロリダで 初めていただいたBBQリブ。その美味しさにびっくり。 広告から拝借。リブです。 自分で作ってみた。 彼は食べてくれたけれど、ノーモアリブ、なぜ? ポークは嫌いなんだ、と。ファット一杯だから。 ポークにはヴァイタミンが豊富なのよ。 でも、とにかくだめなんだ。という彼、ベーコンは平気。 ハムもだめ。 <肉は赤身> 鶏肉も主流は<胸肉> 日本ではもも肉ですよね。 皮をかりっ と焼くと美味しい、でも、ここでは敬遠されているよう。 皮は絶対残す。ファットだからと。 手羽、ももなどはここでいう<ダークミート>鶏肉にランクがあるなんて。 そんな部位を食べるの?という雰囲気をかんじる。 内臓にしろ、ダックの水かきにしろ、丁寧に下拵えして 手間隙かけて美味しく仕上げる、そんな食文化はアメリカには、ない。 非常に単純に拒否反応。 牛肉も霜降り肉など、お目にかかったことはない。 わたしもヒレはすきだけど、ももなどの赤みは固くておいしいとは 思えないのだが。 牛挽肉のファット、洗いものするとわかるけれど これは<グリースだ!>おそろしいくらい。鍋についた油は落とすのに苦労する。 こんな風に、体内に残るのだろうな、とおもうとぞっとする。 彼は牛肉が好き。ビーフタコなど平気でハーフパウンドくらいいける。 ランチにハンバーガー、夜にピッツァ なんてへっちゃらだ。 だいじょうぶ?と心では思いつつ、敢えて言わない。 嗜好だもの。でも、やっぱり体の構造が違うよなあと、思わずにはいられない私。 話は変わるけれど、日本で言う<胃痛> とか、<胃が痛む思い>の様な、ストレスや疲れから来る痛み そんな感覚や言葉もないようだ。 Stomachacheは下痢の痛みも、胃を含めてお腹全体の痛みまで指す。 (と、思う) 海に囲まれ、お米と魚を食してきた日本人とは、体質も感覚も違うのだな と感じる。 気質もね。 <ファットと塩分にコンシャス、でも糖分には寛大!> 概してヘルシー志向は、強いアメリカ。 膨大に出回っている、サプリメントを摂り犬を連れてジョギング。 エクササイズも大好き。 アジアンレストランで、箸を操り<Sushi>を食べ(カリフォルニアロール) スーパーでパックされたサラダに、こってりのチーズ味ドレッシング。 ファットのないチキンブリースト。(胸肉) でも、飲み物ときたらあまあーい、あまああーいソーダか各ジュース。 どれも私にはのめない甘さ。 アイスティーにも砂糖、グリーンティーにまで。 ケーキ、アイスの甘さも半端ではない。 食す量も半端ではない。 そしてやっぱり、大きいハンバーガーを平気で平らげてしまう人々。 ただ、微笑ましい矛盾。 好きに生きよう!と笑ってしまう。 <ゲータレードは健康飲料?> 凄いんです、色が。 青 真紅 黄色 オレンジ 黄緑 水色 紫、、、。 全部、蛍光色ときている。 わたしには、ケミカル飲料としか思えないそれらを 夫は、息子に飲ませるのです。その度<ああやめて~!>と 心で叫ぶ私。 これは類似商品ですが。 口の周りをドラキュラのように真っ赤にしながら飲んでいるジョシュア。。。 私はお水、或はオレンジジュースを水で薄めて与えている。 わたしにも、濃すぎる味。 オチビのときから強烈な味に馴れてほしくないのだ。 疳の虫も強くなる、濃い味になれると素材そのもの、あっさり味を受け付けなくなる。 と、思うので。 大量の汗をかいた時などからだに吸収され易い栄養が含まれている、 それは分かるけど、砂糖の量とあの美しすぎる色を見ると 少なくとも子供には与えたくないと思ってしまう。 出来る限り、先回りして飲み物を与えるようにしている。 <そんなartificial drinkあげないで>なんて言えない、 私も逆の立場だったらいわれたくないもの。 <クリスピーへのこだわり> 先日、KFCに言った時「とってもクリスピーにしますか?それとも普通?」 と聞かれた。(なんて英語だったか忘れたが) とってもクリスピーにするとどんな風か想像できるので <普通>をお願いした。 天ぷら。 此処アメリカに来て、日本にいる時はうまく出来たのに、なぜか 失敗してしまう料理のひとつ。 あげたては、かりっ、さくっとしてるのに、すぐにしなしなになってしまう。 海老のそんな天ぷらを食べた彼。 これは、生じゃない?火が通っているの?と。 ちょっと、フリッターのような食感、でも火は通っていたのだけど。 こちらの日本料理店(殆どが韓国人経営)でTempuraを注文すると そのカリカリ感はかなり高い。 日本の<さくっ>を遥かに超えている。 (私の場合、卵を使うのをやめたらよくなりました)。 ベーコンも超クリスピー。 クリスピーシュリンプとか皆さん、クリスピーがお好きなよう。 揚げ物だけど、クリスピーだと油が落とせるという感覚があるのでは? と、想像する。 鶏の竜田揚げ、しょうが、醤油、さけで下味をつけて片栗粉をまぶして 揚げる、日本風のフライドチキンも、評判はよろしくありませんでした。 クリスピーがいい。と。なるほどね。 こちらの<JapaneseRestaurant>で、どのように日本料理が アレンジされているか、そしてメニュー構成を見ると アメリカ人のニーズ、嗜好がよく判る。 日本の超一流の和食をそのまま持ってきても 受け入れられるのはかなり難しいのだろうなと思う。 地域差もあるとは思うが。 これは別の機会にレポート(?)したい興味深いことです。 <食の楽しみ方、スタイルの違い> これは、ただ、彼と私の間の違い。 アメリカの人でも自分にとって新しい食材へ好奇心旺盛な人は いると思う。 居酒屋で知った、かえるの淡白な歯応えのある美味しさ。 秋口の香港で店の人にすすめられ、挑戦した蛇のスープ。 (丸ごとの蛇が入ったものではありませんよ)フカヒレスープのようで絶品! 毒におびえながら恐る恐る、初めてフグを口にした日も懐かしい。 箸でつまむと尾が動く車えびの活け造り。などなど。 旅行先でのローカル料理や、ちょっと勇気がいる初めての食材 そんなものと出会うことや、おいしいじゃない!という発見が 私にとっては、生きる(笑)歓びの一つ。ほんとうに。 水族館で<ハタ>をみて、これって香港では高級料理なのよ。 とか日本ではすずめの焼き鳥を食べられる店もあるとか 彼の反応が面白くてそんな事、笑いながらよく話していたけれど もし、<日本人はゲテモノ好き>とか<野蛮な食><下等な食品> なんて思われていたとしたら、まことに!心外だな。 新しい食への好奇心だけでなく、食に何を求めるか いかに楽しむか、姿勢が全く異なっている、と感じざるを得ない事が これまで何度もあった。 そんな彼に 「えっ!これが牛タン?わからなかったよ、こんなに美味しいの?」 なんて状況を期待した私も甘かった。 キッチンのスツール(私の定位置)に座っている私の所へ 彼がやってきた。 すまなそうな顔で。 謝り始めた彼に私は、ピッツァでも頼む?と。 首を振ってそんな必要ないよ、パスタと野菜食べられるから。 捨ててしまったし、彼に新たな食卓を整える気持ちは無かった。 あなたは<。。。。>みたいな食事がいいのよね、私たちは違いすぎる。 。。。は渡米間もないころ招待されたランチ、招いてくれた彼の友人(女性)の名前です。 豪華なアメリカン料理だった。印象的だった。 彼は何もいわず、リビングへ戻っていった。 翌朝、<もう、料理なんかしない!Mac の朝ごはんだ!>と呟きながら 眠りから覚めたけれど、面倒くさく結局、何か作ったのだったな。 しばらくは、彼にはわたしの手の掛かっていない料理を出していた。 ミートボールスパゲッティとガーリックトーストのレンジディナーとか。 そんなものがよろこばれる事も知っていたし。 なにより本当にいや!だった。 今は普通になりましたよ。(笑) 裏庭で寛いでいる君を見るのが僕の幸せだよ といってくれる彼を思い出し、心を切り替え笑いあっててすごす日々。 でも、自分の身に起こったこととして、現実として 刻まれたものもあるという事も忘れていない。
by nao-mischa
| 2006-06-12 04:21
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