2005年 08月 06日
New Port Beachへ 向かう道 CA キャリフォーニア!な風景 停電続きの今日この頃。 また、暑い日が始まった。 ところで皆さんは、(エキサイトブロガーの)編集途中の保存、 どうなさってますか。 これで、4回目、もうすぐ送信!の記事を消してしまい また書き直し。 がっくりきてます。 あー。。。。 気を取り直して再現。何気なく書いたものではなかったので 非常に、悔しい。 <非公開>で投稿しておいて、完成したら公開に切り替える、と いうのはどうかしら? よし! (と、気合を入れる) 本の話を。 硬そうな本でしょう? 読み方に依っては、そうかもしれない。けれど <禅>という思想、学問 (と、私は思う)への、一般的な距離感や 著された、時代との時間差、状況の違い それらを超えて、現代に生きる私たちのこころに響く内容。 平易で、美しい日本語で書かれている。 作者最晩年、と、いうことは昭和30年代。 90歳を過ぎられての作品。 20代で<禅>の道に進み、27歳にして渡米。 時は明治30年。 後にアメリカ人と結婚。英語を日常語とし <西洋生活(精神?)世界>に生き、<禅>そして東洋のよきものを 著作、講演活動のみならず ご自身の<自由な存在>をもって、世界へ伝えた生涯。 そんな著者のみつめる、東洋そして、日本。 西洋との違い。 <世界人としての日本人>としての意識を持ち また、そのように生きられた著者の語る言葉は 日本人は勿論、現代に生きる全ての人々への ユニバーサルなメッセージで一杯だ。 ■ <西洋では物が二つに分かれてからを、基礎として考え進む。 東洋はその反対で、二つに分かれぬさきから踏み出す。> 西洋思想の根底にある<二元性> それは合理性、知性ともいえ、科学の発達、哲学の誕生などを 促してきたものである、と。けれど、 <主と客、われと人、自分と世界、心と物、 天と地、陰と陽、善と悪、能造と所造、...味方と敵、愛と憎しみ その他あらゆる方面に対立が可能になる。こんなあんばいにして まず二つに分かれてくると、それから無限の」分裂が可能になってくる。 ...(中略)その結果は人間の考えが、いやがうえに紛糾する。 手のつけられぬようになる。 ...枝葉がはびこると、しぜんに根本を忘れる。 二分性の論理はそういうことになるのが、常である。> 二元性の論理だけでは、人の世はまわらない。 対極の間には、隙などなく <それを見抜くのが禅の修行>であって、いってみれば 曖昧さから何かを見ようとする、東洋的見方も必要だと作者はいう。 <日本人の感傷性>に厳しい目と批判を向けながらも <東洋民族性の心理の奥底に、すこぶる幽玄なるものがあって、 これを自分は世界の至宝だと思っている。... 世界の人々は、ここにおいて、その霊性の上に 新しい者を見ることになると、自分は信じて疑わぬ。> 私はここに、東洋賛美ではなく、世界観を感じる。 文化観とも。 対極にあるものは、実はお互いを基底にし合って存在している、 <分別と無分別>のように。 考えてみると、全てそうだなと思い至る。 右と左、なんてことから 幸せと不幸せも 闇と光 喜びと哀しみ 有限と無限 天と地、そして、東洋と西洋すら、そうだ。 ■ そして、禅の立場で解釈する日本語についての記述が 興味深い。 <自由><空><妙><自然><詩> 英訳との距離も。 <自然>はネイチュアではなく、<自由>はリバティでも フリーダムでもないと。 西洋思想が(或は英語が)入り始めた頃、 リバティやフリーダムを和訳するのに苦労した学者の 苦し紛れの選択だ、とおっしゃる。 意外だが、自由とは<元来東洋の語>で 西洋のそれは、 <消極性を持った、束縛または牽制から解放せられるだけの義> だそう。 ■ まだ、拾い読みの段階である今、一番惹かれた言葉が、これ。 自由・空・只今 <...空と時を合わせて「一念」というほうがよい。 here now がそれである。> ■ 自由の本質とは。。 <松は竹にならず、竹は松にならずに各自にその位に住すること、 これを(略)自由というのである。> 空。 <空空寂寂の空ではなくて、森羅万象、有耶無耶(うやむや)が 雑然として、無尽に織れているところ、それが直ちに「空」の座である。> 引用がながくなってしまうけれど、続けて <精進や忍辱がそのままに、精進でなく、忍辱でない 時節 -タイム(著者によるルビ)がある、 境涯 -スペースがある。 境涯が時節で、時節が境涯である。 ここに、時間と空間とが一念の上に体取し看取せられるのである。 じぶんはこれを、0=∞、すなわち 「零イコール無限」という。 「空」の世界をここに認得したい。> ■ たとえば、 月の輝く夜空を見上げている時 せいせいとする位の孤独、でもそれは寂しさでは決してなく ああ、ひとり、ここに立っている、と いのちを頼もしく思うような瞬間、そんな気持ちに 襲われることがときおりある。 喜びに溢れている時は勿論、むしろ 困難にあるときの方が、そんな力が湧いてくる。 手探りでも自分の足で立ち、生きている、という実感。 感じ取れる心があれば、後は何も怖い物などない。 <天上天下唯我独尊> ちっぽけな、一生きとし生けるものが 無心で この世と対峙した時に気付く 無限の可能性。 肌で感じる瞬間。 馴染みのなかったこの言葉には、こんな意味も あるのかもしれないと思う。 困難、哀しみ、挫折、そんなものもいきていればこそだ。 どんな自分がそこにいるのか そこに立ち止まって眺める逃げない。 いのちのもたらす、全てを甘受し慈しむ それは自分が選んで歩いている道だからだ。その自由さ。 未知、或は未来への好奇心 それと、瑞々しい感じ取る心があるなら大丈夫、 と、私は思っている。 ■ 禅のエッセンスが、現代にも 私達にも身近に感じられる、簡潔でいて 示唆に富んだ古典的な日本語の美しさ! 随所にみられる漢詩も新鮮に響いた。 勉強の余地、大いにあり、だけれど興味が湧いてきた。 <禅語入門> という本を20代後半に買った。 ハードカバー。出版社などは覚えていないが薄茶の背表紙。 特に禅に興味があったわけではなく、ふと手にとって ぱらぱら斜め読み、内容が気に入って買った本だった。 聞き覚えのあるものから、初耳のそれまで 男女七つにして席を同じゅうせず (よい例を挙げられなくてごめんなさい 20年近い過去なので憶えていないんです) のような警句が箇条書きで並ぶ目次。 各ページにその説明がある。 こんにちに照らした書き方で判りやすかった。 単純に<よみもの>としても楽しめるし、示唆にも富んでいた。 読み手に依って意義が変わる、素晴らしい本だったと思う。 もう一度、読み返したい。 日本の住まいを閉じた時(2003年12月)沢山の本も処分した。 この本が残っていればいいなあと、祈る。 ■ 生まれ育った国を離れ暮らす中で 初めて見えてきた日本、 自分自身がある。 日本にいると日本が見えないなんていうつもりは全くないが 外から、だからこそ見えるもの それがあることは、確かだ。 日本にいたら、こんなに自分が日本人であると 思い知る事はないだろうな と、感じる瞬間がよくある。 そんな発見への、漠然とした希望が アメリカ行きを決めた一つの動機だった気がする。 違いといっても <駐車は前向き>とか<運転マナーにみる気質(テンパー)> なんて、ごく、トリビア的な事、 ありふれた日常、個人的感慨から 1945年に日本が得たもの 喪ったもの、 世界の中の日本を正しく知る為であったり これからこの本をじっくり読んでいく中で得られる 拡がりを確信している。 ■ <文明の衝突と21世紀の日本>サミュエル・ハンチントン 集英社新書 <宿命の越境者イサム・ノグチ上下>ドウス昌代 講談社文庫 これらも日本文化の独自性、 世界の中の日本といったものに触れる本です。 おすすめ! けして難解ではないですよ。 ここまで読んでくださった方、ありがとう。 お疲れ様でした!
by nao-mischa
| 2005-08-06 02:50
| 本
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